都立公園の作業は、「一度綺麗にして終わり」ではなく、管理後にその環境の植生を経年観察した上で、
よりよい作業方法を見出していきます。弊社は東京都公園協会のご担当者様とご相談しながらよりよい管理法を模索しご提案させていただきます。
選択除草の技術
弊社では「選択除草」という特殊な草刈り方法で植生管理を行います。
希少種や在来種などを被圧する植物を手作業で除草もしくは刈り取ります。
(機械刈りで一掃してしまうと、生長の早い優占種や外来種の発生を促してしまうため注意が必要です)
数種類の在来種・外来種を見分けて、手早く対象の植物のみ除草する技術が必要です。
また経年状態を観察し、数年かけてよりよい環境の保全方法を模索します。
水元公園の管理について

2011年から水辺環境の植生管理を定期的にさせていただいております。
在来種や希少種が確認されているエリアでは、植物を見分けながら選択除草を行います。
水元公園で希少種(タコノアシ、ミズネコノオ、オミナエシ、ミソハギ、オニバスなど)を保全する際、「飼育保護」ではなく、できる限り植物本来の自生する力を促す管理を心がけ、対象種に適した環境(耕耘による攪乱や湿地)づくりに努めています。
ミズネコノオ保護区にて

保護対象種
ミズネコノオ
東京都 絶滅危惧ⅠA類
管理方法:選択除草、代掻き、刈り払い

保護対象種
キクモ
東京都 絶滅危惧ⅠB類 (EN)
管理方法:選択除草、代掻き、刈り払い
都立水元公園のミズネコノオ保護地区の実施例をご紹介します。
2017年から2024年まで管理作業に入り、ミズネコノオの生態とそれを取り巻く環境を考慮しながら保護育成を実施しました。(次年度以降も実施予定)
ミズネコノオ植生回復までの経緯
当初、希少種の自生が確認できましたが優占する植物が強く、希少種が負けていました。
現在では試行錯誤の末、管理方法が確立しミズネコノオの群生を見ることができます。
ミズネコノオ保護区の環境
水辺環境 水深1センチ~5センチ程度
自生している希少種 ミズネコノオ、ミズワラビ、キクモ
優占種 コナギ、サンカクイ、ヨシなど
2015年
群生となり被圧している優占種(コナギ)を手刈り、伐根する。
一歩ずつ進み、水を濁らせないように作業する。
全面除草できず、半面のみ行う。

2016年
刈り払いを実施。
しかし刈り取られたミズネコノオの再生力より多種が上回ってしまう。
選択除草を行い、次年度は代掻きを提案。

2017年
代掻きによりヨシ、サンカクイ等の多年草植物の効果を得る。
選択除草はミズネコノオの根も巻き込んでしまうため、9月以降は不向きと判断。
優占種コナギが未発達段階の6月に集中して行う。

2018年
6月の選択除草で優占種コナギの抑制に成功するも、多種(チョウジタデ、タマガヤツリ、ヒデリコ等)の発生が見られた。
また代掻きを1か月遅らせたことで実生が減少したが結果的にミズネコノオの分布を広げることに成功した。

2019年
水位が減り乾燥状態が続いた。
優占種のコナギ、イボクサが激減し、カヤツリグサ科が増えた。
刈り払いで対応した。
乾燥によるミズネコノオの影響は見られなかった。

2020年
降雨による冠水が続き、コナギ発生が顕著になったため代掻きを2回実施した。6月以降はミズネコノオとコナギが共に出現し選択除草を行った結果、ミズネコノオが優勢となった。
5月下旬の代掻きが有効という結果になった。

2021年
5月下旬に代掻きを施した。その後無水状態になりミズネコノオの発芽が遅れた。
夏場の他種から被圧されつつも選択除草でミズネコノオの群生を維持した。
代掻きからの無水に注意が必要だが発芽以降の乾燥化は耐えることがわかった。

2022年
計画通り、5月下旬の代掻きを施し、範囲全域のコナギ一斉除去を試みる。
以後、ミズネコノオが全域を優占。
今までで最も広範囲にミズネコノオが群生した。

2024年現在
計画通りの方法でミズネコノオの群生が維持されている。

ミズネコノオは8月~9月にかけて薄ピンク色の花を咲かせます。
東京都内ではほとんど見られなくなりました。ぜひ来園の際はお立ち寄りください。
タコノアシ保護区の管理

保護対象種
タコノアシ
東京都 準絶滅危惧 (NT)
管理方法:選択除草
ミズネコノオ保護区に隣接するタコノアシ保護区では、ヨシなどの選択除草を行っております。
2017~2024年(現在も継続中)で選択除草を続け、群落として自生しています。
ヨシの強靭な再生力も継続的な伐根作業を行うことで年々弱まってきている傾向があります。
しかし一度管理を放置してしまうとヨシ原にのまれてしまう可能性があるため注意が必要です。
水生植物展示池

保護対象種
オミナエシ
東京都 絶滅危惧ⅠB類 (EN)
管理方法:選択除草
2011年から植生管理をさせていただいております。
園路は来園者の方がミソハギやヤブカンゾウを楽しめるよう被圧するヨシなどを伐根で選択除草します。
刈払機使用範囲内においても、在来種ホタルブクロやオミナエシなどに注意を払って選択除草をしながら作業しています。
定期的な管理を行い2011年から2024年現在まで徐々に株数を増やしています。


その他の管理
- ミゾコウジュ保護区にて 刈り払い除草管理
- オニバス池にて ガマ伐根作業
- 増殖池にて アサザ移植、刈り払い除草管理 など
- 水生植物園にて スイレン除去、鯉用柵の設置 など
向ヶ丘百花園の管理について

2024年から園内の植生管理をさせていただいております。
向島百花園では名前の通り、様々な種類の植物が生育してます。
弊社では残したい植物周りの選択除草、増えすぎてしまう植物の調整、園路と植込地の境界の除草などを行っております。
多くの植物を見分けながら作業を行うので、植物の知識が必要な作業となります。


舎人公園の管理について

2021年から通常管理では対処できないような作業を引き受けております。
台風で動いてしまった浮島の移動・固定、ハス池の伐根・枯れ刈り、水鳥の池のヨシ刈りなどの作業を行ってきました。
水辺での作業なので安全に効率よく作業することが求められます。
水鳥池のヨシの刈取り作業

ヨシの刈取り作業です。
大型の除草機材は使用不可なので、刈払い機を使用します。
多くの野鳥が訪れる場所なので、すべて刈り取らずに隠れ場を残して作業しました。


ハス池の伐根

冬に枯死したハスの除去です。
水中での作業になり、手作業で刈り取ります。
なるべく根元に近いところで刈ります。


葛西臨海公園の管理について

2024年からヨシ刈りを承っております。
広範囲での作業なのでハンマーナイフを使用します。


小金井公園の管理について

2023年
池内の浮草除去と枯れ枝撤去のご依頼を受けました。




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